日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年3月8日興味を持って聞いてもらえる話にするには?



★事実の解釈次第で話は面白くなる


日本話し方センターが開催している2日間集中コースは、2日という短い時間で話し方を集中的にトレーニングするコースです。話し方に関する講義を聞いた後、それをスピーチ実習で実践します。全体の半分以上の時間を話し方のトレーニングに費やすカリキュラムになっています。実習では、受講生が作成した2分間のスピーチをまず講師がチェックし、その後、受講生が個人で練習します。しばらくして講師がその話し方や内容をチェックし、また個人練習をするということを繰り返した後、全員の前でスピーチをします。こうした実習を3~4回繰り返して話し方のスキルを磨きます。


この実習を通して多くの受講生がわかりやすく、興味を持って聞いてもらえる話のコツをつかんでいます。
今回はそのコツの一つである「事実を解釈する」ということについてお話します。





★事実の解釈の事例


◎当初、Cさんが考えたスピーチ

2日間集中コース受講生のCさんは、失敗談というテーマの実習で当初、次のような原稿を作成しました。
・大阪で過ごした学生時代によく通っていたカレー屋さんが店を閉じることになった
・ぜひ閉店までにもう一度行きたいと思ったが、名古屋から遠いしコロナ感染も気になる
・意を決して大阪まで行ったら日曜日で店はお休みだった
一応ストーリーは考えたのですが、Cさんはこの話をどのようにスピーチにまとめたらいいのかわからない、とのことでした。



◎事実を解釈して自分の意見をつける

Cさんはこの段階では過去の事実だけを並べています。このままでは聞き手は「だから何?」と思うだけです。面白くありませんし、何が言いたいのかも分からない話です。話は聞き手に何かを伝える行為です。事実だけを伝えることが大事な場面もありますが、このスピーチでは事実だけを話したいわけではないはずです。話をする上で大切なことはその事実をどう解釈するかということです。解釈して自分の意見を出し、それを中心に話をすると聞き応えのある話になります。



◎Cさんと講師とのやり取り

講師がCさんにその時の詳しい状況を聞いてみると、次のような話をしてくれました。
Cさん「閉店前に行ける日が今日しかなく、行くか行かないか、時間や費用、コロナリスクなど色々考えたんです」
講師「でも肝心の定休日かどうかは確認しなかったんですね。それはなぜですか?」
Cさん「頭に次々に浮かぶことばかり気にしていて、抜けていることがないかな、と考えなかったのだと思います。考えてみると、仕事でも同じように肝心なことが抜けていることがよくあります」
講師「では、Cさんはこの経験を踏まえて、これからどうしたいですか?」
Cさん「色々な考えが浮かんだ来たら一旦立ち止まってヌケモレがないか確認する余裕を持つようにします」



◎解釈した後のスピーチ

このやり取りでCさんは事実を解釈して自分の意見を引き出すことができました。そして、話す内容を整理し、全員の前での発表では「行動する前に一旦立ち止まろう」というテーマで、次のような内容の話をされました。
・大阪での学生時代によく通っていたカレー屋さんが店を閉じることになった
・ぜひ閉店までにもう一度行きたいと思ったが、名古屋から遠いしコロナ感染も気になるなど色々と考えた
・意を決して大阪まで行ったら日曜日で店はお休みだった
・振り返ると、私は仕事でも色々なことを気にしながら、肝心なことを確認せずに失敗することが度々あることに気づいた
・この経験を活かして、今後は行動を起こす場合、一旦立ち止まってヌケモレがないか確認する



★事実の解釈は1つではない


当初の事実だけを羅列した話よりも、はるかに興味を持って聞いてもらえる、わかりやすい話になりました。なお、事実の解釈は1つだけではなく幾つも出すことが可能です。上の話でも、カレー屋さんは定休日だったけど、その後、大学時代の友達と会って旧交を温めたのなら「禍転じて福となす」という解釈をしてもいいでしょう。話をする上で最も大切なことは、自分が話したくなる話にすることです。事実を解釈して自分が一番いいたいことを引き出せば、聞き手が共感する話をすることができるのです。



★興味深い話にするコツを学びましょう!


日本話し方センターのベーシックコース2日間集中セミナーでは、その話で何を言いたいのかをつかんで面白い話に組み立て、相手に聞いてもらえる話し方ができるよう訓練を繰り返し行います。ぜひ受講をご検討ください!

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